父親が
「俺たち夫婦がお前たちを産み育てているのは、子孫を残すのが生命としての義務だからに過ぎない。」
「俺たちは子育てで苦痛を強いられている」
「お前たちが許される方法は子供を産むことだけだ」
「25までに結婚し、子供を産め」
というメッセージをずぅっと発していたからだ
なんで子供を産んだの?
「私が生きるためよ」
「私が、父親に殺されないようにするためよ」
ああ、
ほんとは産んだ途端に私がぽっくり死ぬのが理想だった
鮭が川へ帰り、
出産を終えたら死ぬ。
あの死に方が理想だと思っていた
そんな考えがあったからか産んだあと、本当に命に関わる病気になった
死にかけた
夫は
「奥様は今大変危険な状態です」と
医者に言われたらしい
ところが、私は愚かにも、子供の顔を見たいから生きたいと願ってしまった
のうのうと生き延びてしまった
あのとき死ねばよかったのではと、今でも思ってしまう
しかし、子供はとても可愛い
とても可愛い
とても、可愛いのだ
ああもう寝よう
ほんとうに、死にそうだ